top of page

​知られざるチョコレートの魅力

チョコレートは、一口で幸せを感じさせる魔法のお菓子だが、出来上がるまでにたくさんの工程があることをご存知だろうか?松本市内で「ハレトケChocolat」を主宰の伊藤有香里さんに『ボンボンショコラ』について教えていただいた。

 愛らしい小さな一粒

 甘い香りと共に溶けていくその口どけ。チョコレートは多くの人に愛されているお菓子の一つ。女子なら一度は手作りしたこともあるのではないだろうか。伊藤さんが作るのは、『ボンボンショコラ』と呼ばれるチョコレート。「中にお酒が入ったもの」と思われるかもしれないが、正確には板チョコのように繋がったものではなく、一粒のチョコレートのことを言う。バレンタインデーの時によく見かける、綺麗な箱に入ったあれだ。それを自分で作ることができる講座は、女性には参加したくなる贅沢な時間だ。

 チョコレートは発酵食品

 チョコレートが発酵食品だと言うことを知っている人は案外少ないのではないだろうか。

 生産国から送られてくる前に、まず現地でされる作業だ。摘み取ったカカオポッドと言われる実の中身を、バナナの皮に置き、またバナナの皮を被せる。こうすることによって、チョコレートの香りの元となる物質が生まれるのだという。菌が混ざり化学変化が起き自然に発酵。どんな条件でどういう結果になるのか、詳しいことは未だ解明されていないらしい。なかなか奥が深い。

 とても繊細な14の工程

 わかりやすい例として板チョコの工程を教えていただくことにした。

 輸入されたあと、誰もが知っている形になるまでに14の工程があるという。焙煎し砕いてすり潰し、砂糖やミルクと混ぜ練る。

 焙煎は、温度によって苦みや渋みが出てくる。とても繊細で重要な作業となる。他にも人の舌でざらつきを感じないようにしたり、口溶けに欠かせない工程など。型に入れる前には、安定させ結晶化させるテンパリングがある。これをすることで、ツヤっとした見た目、スッと熔ける口どけや劣化しにくいことにつながる。この後、型に充填、冷やし固め、型から抜きようやくあの姿になる。どれも美味しいチョコレートを作る上で欠かせない。一枚の板チョコにこんなに多くの手が加わっているとは驚きだ。

 

 『ボンボンショコラ』の魅力

 伊藤さんが一粒チョコレートにこだわるのは、その特別感だという。見た目の可愛さや綺麗さもあるが、華やかなのに一口でなくなる儚さ。作ると繊細な作業だが、扱う材料によって幾通りものバリエーションが生まれることもこだわっていることの一つだ。

 自分が作りたい味を見た目、中身、パッケージなどで表現。「最後まで気が抜けない。いつかは自分がきゅんとなるチョコレートを作りたい」と伊藤さんは語る。

 「人生はハッピーな日があれば心沈む日もある。どんな時でも”あなたの味方がここにいますよ。あなたはそのままで十分すごいよ”そんなメッセージを『ボンボンショコラ』を通して伝えていきたい」と熱く語る姿は、奥が深いチョコレートの世界そのもの。

 甘くて美味しいチョコレートは、香り、舌触り、見た目、口どけ、味などたくさんの要素を含む一つの芸術作品だと思って食べると、また新たな発見がありそうだ。

ボンボンショコラを作るワークショップに参加したとき、その繊細さや複雑な工程に驚き、すっかり魅了されてしまいました。チョコレートが発酵食品だったなんて、多くの人はきっと知らない!そう思うと書きたくなり、インタビューをさせていただきました。

伊藤さんは、現在松本市内にて『ハレトケchocolat』を主宰。チョコレートマイスター認定講師講座やワークショップなどを開催し、チョコレートの魅力を広めるため活躍されています。
ブログはこちら
 

bottom of page