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クラブルーチェドンナvol.3

​蜜澤真紀さん

女性ならではの輝き、美しさ、淑やかさ、力強さ、包容力。

そんな女性の魅力をいつもでも失わず、

自分も輝いて生きる人のための学びの場である、

クラブルーチェドンナ。

 

第3回目のゲストは、エンドオブライフケアサポーターとして活躍されている蜜澤真紀さん。訪問看護師として介護の世界で働いていた経験もあり、”逝き方はどう生きるのかに繋がる”と題して、人生最期の時をどのように過ごすのか、どうしたいのかを健康なうちから考えていこうというお話を伺いました。

―河田(以下K)

今日は、エンドオブライフケアサポーターの蜜澤真紀さんです。

人生最期の時を考えることって、普段の生活の中ではなかなかできない。

自分もですが家族がいざという時になると、あ〜どうしようどうしよう!ってなりますよね。そうなる前に、元気のうちにいろんなことを考えてみませんか?という活動をされている蜜澤さんですが、最初の出会いって何がきっかけでしたっけ?

 

―蜜澤さん(以下Mさん)

マルシェに出ていて、隣同士だったんですよね。その時はまだ“ことだま”の鑑定をしていて、エンドオブライフケアの勉強をしている最中でしたね。今はもう手放してこれ一本でやっています。

 

―K

そうそう。そのエンドオブライフケアって何?って興味津々で、お話を聞いたら“それ面白い!”って印象に残っていたんですよ。で、その後本格的にこのお仕事を一本で始めたので今回お話をお聞きしたいなとお願いした次第です。

元々は、訪問看護のお仕事をされていたんですよね。

 

―Mさん

そうですね。5年働いてこの3月で辞めました。その前は老人ホームで働いていたんです。

 

―K

ずっと看護の世界にいたんですね。

 

―Mさん

高齢者、介護という現場ばかりだったので、どちらかというと、病院以外での看取りにずっと関わっていました。

 

 

―K

で、今は地域包括支援センターという行政の仕事に携わっていて、みんなにこの活動を知ってほしいということで、移られたんですよね。

 

―Mさん

訪問看護だと私が行ったお家の、目の前にいる利用者さんとご家族に対しては必要な支援や相談に乗って行くことはできるんですが、これはもっと早い段階で元気なうちにやらないとダメだなということに気づいたんです。

訪問看護が必要な人って、割と重度な人、いつお迎えがきてもいい、という人が多い。実際にそうなってしまった時に、家族はいろんなことを考えられないですよね。なので、もっと早く元気なうちにアプローチして行くしかないですよ。これは、訪問看護をやっているんじゃできない。それで、この4月から(2019.4)地域包括支援センターで、高齢者や介護保険のことなどの一番最初の窓口にいます。

 

―参加者さん

それって本当に大事なことで、家族にとってもすごく助かるし、大事な部分だと思います。

 

―Mさん

いざとなってご家族があとわずかしか生きられない、家に連れて帰る。連れて帰ってはきたけど、私たちどうすればいいの?と思うと思うんです。

 

(一同頷く)

 

―Mさん

1〜2年くらい何かいい方法はないかな、と自分の中でずっと思っていて。人によっては、経験で伝えていけるんだし、別に学ばなくてもいいんじゃない?と言われたこともあるんですが、誰にでもわかるように私の経験と勘じゃなくて、ちゃんと理論立てて伝えていきたいな、という思いがあって。そしたら出会ったのがエンドオブライフケア協会というところだったんです。
たまたま協会のトップの先生が書いた記事が医療雑誌に載っていて、読んだらこれだ!と思いました。で、検索したら講座があり、すぐ申し込みして学び始めました。私が探していたのはこれだ!と思いましたね。

 

ーK

エンドオブライフケア協会って具体的にはどんなことをするんですか?

 

―Mさん

具体的には、その先生が出している「死を前にした人にあなたは何ができますか?」という本があるんですが、まさにその通りなんですよ。

例えば、痛いとか苦しいとかは結構お薬でどうにでもなる、割と抑えられる。でも、癌になった人が、なんで私がこんな病気にならなきゃいけないんだ、とか死ななきゃならないんだ、とか、解決できない苦しみを抱えている人たちがいっぱいいるわけです。これは必ずしも死を前にした人だけではない。子供でも言えるんです。県大会出場がかかった大事なサッカーの試合で最後のシュートを外して負けちゃった。。。。もう学校に行きたくない、練習に行きたくないって思うくらいショックなわけじゃないですか。そういう人が前にいたらなんと言うか。生きて行くのが辛くなった人が目の前にいたら、その人にあなたはどうやって関わっていきますか?というのがテーマなんですよね。
例えば、病気になって長く生きられないという人に、そんなことないよ!絶対うまく行くから、大丈夫だから!と言われてもそんな風に思えないわけですよ。もう私死ぬかもしれない、あなたに何がわかるの?ってなっちゃう。

そういう時に関わっていくには相手の話を聞いて、反復というんですが、例えば患者さんが昨夜眠れなかったんですよ、って言ったとする。看護師は、じゃぁ眠剤出してもらいますね、という人が一人。(一同苦笑)

そんなことないじゃないですか、昨夜よく寝てましたよ、という人が二人目。

昨夜眠れなかったんですね、とそのまま返す人が三人目。(協会が進めている受け答え方)

そうすると患者さんは、そうなんです、昨夜眠れなかったんです。実は病気のことが心配で不安になって眠れなかったんです。。。と、その人は眠れなかったことが問題なのではなくて、それだけ不安だったんだということなんですね。

 

―参加者さん

気持ちを引き出せるってことが大事なんですね。

 

―Mさん

そうなんですよ。聞き方で相手の本心を引き出す。そういう方法で信頼関係を築いていく、というのを教えてくれるんです。実際に座学は半分くらいで、半分はロールプレイとか、事例検討会をやったりします。実際にその人を支援するにはどうすればいいかを考えていきます。ここは本を読んでもできるようにはならない、実戦あるのみと先生は言っていますね。
ロールプレイングは、患者さんの役をやってるとみんな落ち込んじゃって泣き出したりね。自分が病気なわけではないのに、自分が癌患者のようになっていっちゃうんです。

そうなった時に、相手がどんな言葉をかけてくれたら嬉しいか、実際に体験するんです。

また、反復の言葉が違う言葉を返されると、私が言いたいのはそれじゃない!となる。でも、そうやって練習してみると、この人私のことわかってくれてないな、とか、ちゃんと聞いてくれてないなとかがわかるので、その場で相手に教えてあげる。そういう訓練をしていくことで学んでいけるんです。

 

―参加者さん

私も似たようなことを学んだことがあって、反復したらいいんだって頭ではわかっていても、いざ目の前にした時に、考えて言葉を選んでしまいますよね。

 

―K

そうですね〜寄り添うってことが大事になって来ますよね。ただ言葉を反復すればいいわけでもなく、相手の気持ちや言いたいことを受け取ってそこから反復するのとでは違ってきますよね。

 

―Mさん

そうなんです。そこが技術なんです。実際にロールプレイングとか練習してみると、すごく難しかったりするんです。最初は、昨夜眠れなかったんです、とかだと反復も簡単ですが、もう私なんか死んだほうがいいと思っているんです、みたいな文章だと、死んだほうがいいと思っているんですね、と全て反復してしまわないで、あなたはそう思っているんですね、でも私は思っていませんよ、と伝えたり。相手の発するネガティブな言葉をそのまま返すのってちょっと考えますよね。

 

―参加者さん

私も職種柄そういう現場にいて、昨夜眠れなかったんだねというのを立って言ったり、何か作業しながら言うのと、座ってちゃんと目線を同じにして言うのとでは違いますよね。

 

―K

そうですよね。そこで心を開いてくれるか、閉じていくか、この人はわかってくれない・になりますよね。

 

 

―参加者さん

聞き方で相手の本心を聞くという意識ですよね。

 

―Mさん

そう、その言葉の奥に本当は何があるのかな、という意識で聞く。それが聞き出せた時、この人私のことわかってくれたんだ、って思うんでしょうね。
先生が言っている“対人援助の方法”の目指すところは、苦しんでいる人たちは、わかってくれる人がいると嬉しいんですよ。私の苦しみはあなたにはわからないでしょ、と言われると返す言葉もなくなるんですが、その人の苦しみを100%わかってあげることはできないけれど、その人は苦しいんだということをわかってあげる、ということが相手に伝われば、この人は私のことをわかってくれてるんだな、と思って信頼関係ができるんですよ。よくありがちなのは、自分の聞きたいことばかりを話して、相手の話したいことは一つも聞いていないということ。それは友達の間とかでもそうですよね。

 

―K

エンドオブライフケアって書かれているから、最期の時のことって思ってしまいがちですが、日常で使えることばかりですね。こちらの聞き方だったり質問の仕方だったりがとても重要になってくるじゃないですか。じゃ、いかに自分が心開いて聞くとか、自分の持っていき方というのはどんな風にしたらいいんでしょうね。

 

―Mさん

私が教わったのは、質問するのは信頼関係ができてからだと。

 

(一同ほぉ〜!と)

 

初めて会った人と信頼関係ができていないうちに質問をすると、それ以上相手は話をしたくなくなりますよね。信頼関係を築くためには、まずは反復をしながら聞く、相手が何を言おうかなと考えている時には待つ、畳み掛けるように何か言わなきゃ!と思って話してしまうと、相手の言おうとしていることを遮ってしまうこともあるので、待つ。

以前、友達の話を聞いていたら、アドバイスをしたくなっちゃって。学んでいてもついつい相手に聞いてしまったりね。ある時、どうしたいの?って尋ねたことがあって、そしたら友達は今は考えられないと言い、今は考えられないんだねって返したら、この人は私のことをわかってくれてるって思ったらしいんです。

 

―K

やはり知識があるとついアドバイスしたくなったり、言いたくなってしまいますよね。

 

―Mさん

友達が本当に言いたかったことは、誰も私のことをわかってくれてない、だったんですよ。そんな思いを私にわかって欲しかったんだなと。要するに何かして欲しいわけじゃないんですよ。根本にある、私のことをわかってくれない、をわかって欲しかっただけなんですよね。

 

―参加者さん

そこの見分け方というのはどうすればいいんでしょうか?

 

―Mさん

それは難しいですね〜。私も勉強をしてきて、尚且つ彼女とのやり取りの中で気づいたので、、、、ここをこうすれば見極められるよ、というものでもないと思うんですよね〜。あと、その人との関係性もありますね。会ったばかりの人とか、患者さんとかだとまた変わってきますよね。

 

―参加者さん

待つということってどうやればいいんでしょうか?

 

―Mさん

そこをロールプレイで練習するんです。患者さんの役をやると、だんだん気持ちも落ち込んできて、言うことがなくなったりするんですが、何を言おうか考えているときに相手が黙っていると、あ、待ってくれてるんだと思えるんです。喋る側にしてみれば苦痛じゃないんです。逆に質問されると言いたいことがわからなくなったりします。

待ってから相手がやっと出した言葉を反復すると、そうなんです。。。。と次へ繋がっていったりします。この「そうなんです」がキーワードだそうですよ。

友達同士でも「そうそう!」って言いますよね。それが出てくるのが一つの目安ですね。

 

―K

意外と患者と看護師とかだと冷静に考えられたりしますが、身内だとそうはいかないですよねー。感情が出てきてしまって。

 

―Mさん

そうですね〜身内はどうしてもしょうがないですよね。。。。

 

―参加者さん

そうするとそう言う時は、例えばケアマネさんとかの第三者を交えて話をするのがいいんでしょうか?

 

―Mさん

そうですね。それがいいですね。

お互いの思いを聞いてもらうのがいいですね。

 

―K

やはり、わかってもらいたいというのが、どんな状況でも私のことをわかって欲しいというのが根本にあるような気がして、ちょっと切ないですね。

 

―参加者さん

例えば、治療をしないといけない患者さんがいて、治療の指導をして帰したんですが、ご本人は自由にしていたのでやはり悪化してまた入院してしまったんです。でも、本人は自由でもう自分はどうなってもいい、と言っていて、そういうときにどんな風に関わっていけばいいんでしょうか?

 

―Mさん

まさにみなさんにお配りしようと思っていたんですが、「人生会議」って聞いたことありますが?アドバンスケアプランニングというものです。

(ここでプリントを配ってもらいました。こちらからダウンロードできます。

https://square.umin.ac.jp/endoflife/shimin01/img/date/pdf/EOL_shimin_A4_text_0416.pdf

本人、家族、医療従事者など、その方に関わる人たちが集まって、本人がどんなことを大事にしているのか、どんな治療を受けたいのか、受けたくないのか、そう言ったことをあらかじめ話し合っておこうね、ということなのです。

その方がどんな風に生きていきたいのか、などを決めてもらうんです。本人が決められないから病院の先生に任せるよ、というのも選択肢のひとつかもしれない。本人が判断できるだけの情報を提示して選択してもらう。

で、元気なうちにこれを考えておいてもらいたいんです。最期の時に自分はどうしたいか、延命治療をするとか、しないとか、最期を家で過ごすのかとか、それを考えておいてもらいたいんですが、その選択肢がこのカードに書かれているんですよ。

 

(ここで“もしバナカード”を体験してもらう)

 

長く生きられないという時に、あなたが大事にしたいことはなんですか?と聞かれても、わからないじゃないですか。そんな時にこのカードにある35個の選択肢から考えてもらうゲームです。

 

(ゲームが終わりMさんの解説を聞きます)

最後に手元に残したカードから、価値観や想いを大事にする生き方や、楽しく過ごしていきたいなとか、なんとなくその人となりがわかるんですよね。結構深いです。ですので、深刻な状況じゃなくて、楽しく遊べるような時にするといいですね。ゲームをしながら、自分が大事にしているものや大切にしたい生き方なんかがわかる。

また松本市医師会から出ている「わたしのリビングウィル」というのもわかりやすくていいです。
(こちらからダウンロードできます。http://www.matsu-med.or.jp/livingwill/ )

延命治療自体がどんなものかも知らないので、この機会に考えてもらうといいですね。

また家族との話し合いも必要です。本人は良くても家族は反対、ということもあるので。

「人生会議」をして自分の意思を決めておくのは大切です。さぁどうする!という切羽詰まった時に決定を下すのって、家族でもできないですよね。

 

―K

こういうことって知らないですよね。いざという時になって初めて知るみたいな。介護が始まったらどこに聞けばいいの?と迷っているうちに、こんなはずじゃなかったとなったり。

 

―Mさん

そうなんです。患者さんも知恵をつけていかないといけない時代なんです。

<Kの視点>

今回、会場の都合で途中で終わってしまい、大変申し訳ありませんでした。

人生最期のこと、その時自分はどんな状態なのか、家族はどうするのか、たくさんの決定事項を自分で決められる状態ならOKですが、そうじゃない時の方が多い。家族に負担をかけないためにも、健康なうちに自分の最期をどう迎えたいのかを考えておく必要があります。それは、そこまでの人生をどうやって生きていくのかに繋がっているように思いました。とても深くて大事なことですね。
是非、一度考えてみてください。そして文書で残しておくことが大切。文中にあるリンク先からDLしてみてください。

今回ご参加くださったみなさま、それぞれの立場で聞いてくださっていたので、質問も多くとても有意義な時間になりました。話を聴くってすごく大事!これからもハートを開いて聴こう!と思います。

真紀さん、ご参加されたみなさん、ありがとうございました。

<蜜澤真紀さんプロフィール>

看護師として福祉施設・老人ホームでの看取りを経験後、訪問看護師として在宅での看取りを支援。その経験の中で、人生の最終段階にある人とその家族への支援の必要性を感じ、エンドオブライフ・ケア援助士となる。

 

「縁起でもない話」を日常的ににできるように、「死」について考えることで、それまでの人生をどう生きるかを考えるきっかけとなることを目指して活動している。

エンドオブライフ・ケア協会認定ファシリテーター

:ブログ 一期一縁 人生で一度きりのご縁を大切に:

https://ameblo.jp/ichigo-ichi-en/

次回8/22日(木)は、全国にクライアントを持つコーチングの有賀都深子さん。この日は、いつものインタビュー形式ではなく、実際にコーチングを体験してみる時間になります。自分の目標を達成したい!、自分の向かう道がわからない、など、いまモヤモヤしていることがすっきりとなって帰れること間違いなしです!

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